[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 扉を開けると、綺麗に磨き上げ管理された楽器がまず目に入る。
ここが、あたしのお城。あと数か月でもぬけの殻になる、砂のお城。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「わぁぁ」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 思わず口から言葉が漏れる。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「何よ、学校の中にあるあたしだけの部屋って所を除けば……庶民には馴染みがないかもしれないけど、ふっつーの部屋よ?」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「やぁ……普段出入りすんの教室と部室くらいのもんなんで、こんな素敵なお部屋あったんや……って」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : きらきらと目を輝かせる。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「……」
目をきらきら、ぱちぱちとさせる漫を見ると
なぜか、部屋に引きずり込んだことでこっちのペースにやっと持っていけると思っていたあたしは、また彼女のペースに持ってかれそうになっていた。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : いくら入学してきた当初から、天然で、ドジで、そういう意味でかなり目立っていたから
記憶に色濃く残っているけれど……それでもあたしが統括する部活メンバーの「一人」に過ぎないんだから。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「……? どないしました?」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : あまり、余計に足を踏み込みすぎない、そして逆に踏み込ませすぎない方がいいはずなんだけれど……
…………あっ、じゃあこうやってあたしの部屋に入れてあげてる時点で……

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 『特別』扱い、しちゃってるのかしら……?

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「な、なんでもないわよ、ほらてきとーな所に座ってなさい」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「はっ、はい……お邪魔させてもらいます」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 案内されつつ、部屋の中を物珍しそうにきょろきょろと見渡す。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「まっ、肩の力を抜いて、リラックスして寛いでなさいよね」
とりあえず……まぁ、客人相手にはお茶菓子を出してあげるのがいいのかしらね?
皐月ちゃん以外と、こうやってプライベートで深い付き合いというのもないし
しかも相手は後輩……

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「え……えっと、お気遣いなく……ほら、私さっき缶二本もろてますし」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「そ、そう? じゃあつまむ物ぐらいは貰っときなさい」
漫の前に菓子を広げるように出してあげる。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「あ、あんがとございます……」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「……それにしても、やっぱ落ち着かないわねあなた? 楽器とか気になるの?」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「はっ、はい……こんだけ色々あって、全部使いこなせるんですか」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「もしかして信じてないのぉ~? ……やってあげてもいいけど」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「あ、いや……そういう訳やないですけど……でも、実際に使うとるとこは是非見てみたいです」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「部屋の楽器から、気持ちがこもっとるというか……大切にされとるんやなっていうんは、やっぱり伝わってきて」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 少し大袈裟に手振りをしながら。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「………あたしは文化部統括委員長よ? 文化部全体を鼓舞させる為に、あたしはこの楽器で演奏するんだから、大切にしないと、ねぇ?」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「えっと……それと一緒に輝いとる蛇崩先輩も、見てみたいというか」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「み、見てみたい? そ、そうねぇ……」
何よ、いちいち……他人の良いところを引き出そうとして。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : いいわよ。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : それなら存分に見せてやろうじゃないの。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : あたしはちょっと躍起になり、手ごろな楽器を手に取る。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「!」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「じゃあ耳をかっぽじって、よく聴いてなさい? 耳を澄ましてなさい? このあたしの独奏……この部屋は防音だから」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「あなたとあたしにだけしか聴こえないんだから」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : あたしはそのまま、音を奏で始める。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「……」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 部屋に散りばめられる、鮮やかな音。
あたしは、これで吹奏楽部の面々と共に、文化部を鼓舞してきたのよ。
……この子はその風景を、見逃してそうだけど。いつも、そうしてきたのよ、あたしは。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 奏でられる音の中に身体と意識を預ける。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : それに、あたしは逆にあなたの事はよぉ~く見てきてあげたんだから。
今まで見逃した分、見てなさい。聴きなさい。
これは、あなただけに送る演奏なんだから。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 身体と、そして意識すらも音に溶かして。
あたしの演奏を聴いてくれている。犬みたいね、時折融通はきかないけれど……時折すっごく誰かの為に真摯に、心身になれる。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : …………まぁ、つまりは……

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : ……

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : いい子。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「……ふぅっ」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「はい! 終わり!」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「ご清聴……感謝するわ」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 心地よくからだ全体に広がっていく……そんな音楽に、とく、とく、とく……と心臓が脈を打つ。まるで、この音楽そのものが自分のためにあるように。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「……はっ」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「…………」
まだ、あたしの演奏、その余韻に浸ってくれるなんて。
本当……。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「ねえ、今の演奏……曲名はなんだと思うかしら?」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「いやぁ、ありがとうござい……へっ?」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「曲名よ、とぉ~ぜんわかるわよねぇ? すっごく良い音出してたからはっきりわかるはずだけどぉ」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「えっ……いや、そんな……」
不意をつかれ、目を丸くして乃音を見つめる。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「……ぷっ」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「あははははっ! 嘘よ! 曲名なんか無いに決まってるじゃない!」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : あの子も、この子も、何なら演奏するまであたしすらも知らなかったのよ
こんな曲。だってこの曲は……。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「ひゃ……なんや、また揶揄っとったんですかっ」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「だって、この曲」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 :  

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「あなたを見て、即興で奏でたから」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 :  

[文化部統括委員長室] 上重漫 : ……え。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「あなたを見てると、次から次へとメロディーが浮かんで止まらなくて、楽しかったわよ? 意外と」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「そらすごいですね……そんでも、私なんかで浮かぶもんですか」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「あなただからこそ浮かんだのよ、誇りなさい」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : あたしは即座に、そう返していた。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 正真正銘、今の自分のためだけの……音楽。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「ほぇ」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「まあ、あなたの事は高等部に入ってきた時からずぅ~っと見てきたから、実は自然とメロディーのライン自体は作られてたかもしれないけれど?」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「でもこうやって曲にできたのは、こういう機会があったからこそよ」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「うぅ……なんや、ずっと見られてたって……」
少し気恥ずかしそうに。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「そうよ、だ・か・ら」
近づいて、額に指先をあてる。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「ここに落書きされてるのもよぉ~く知ってるわよぉ? 何回や゛ら゛れたかもねぇ~~!」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「ひゃ……」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「ちょ……もう!!どこまで見とるんですか!?」
慌てて今はまっさらの額を覆い隠す。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「文化部統括委員長、舐めないでほしいわねぇ~!」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : そう言いながら、あたしは漫の隣に座る。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「今やっと、落書きされた額よりそのまっさらな額を見れた合計時間が上回ったところよ」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「え」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 音楽にあてられたせいか、心臓は未だ小刻みに脈を打っている。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「でもなんか癪ね、まっさらな額がなんか落ち着かないわ」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : すると、あたしは水性ペンを持って。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「うげっ」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 反射的に防御姿勢を取る。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : あーら、防御姿勢を取っても無駄よ無駄。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : あたしはそのまま漫の手をとって、防御姿勢をいともたやすく崩そうとする。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「わ」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : そのまま前のめりに倒れ込む。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「あっ……」
顔が近くなると、漫のそのキラキラとさせていた瞳がより鮮明になって
思わず、あたしは見惚れそうに。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : ……。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 見惚れて? ちょ、見惚れてなんかないわよ~~!

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : あたしはそのまま勢いのままに、漫の額にペンを走らせる。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 額には、思わず『乃音』と書いた。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : しばしの間、自身を見つめる瞳に視線が吸い寄せられて。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : ……気付いた時には、キャップを閉める音。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「ふぅっ、ほ~らぁ見なさいよ」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 近くの手鏡を見せて、額の『乃音』を見せる。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「まるで、あたしの所有物になったみたいねぇ~!」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「う、うぅ……」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「これじゃ外歩けないですよ……」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「水性だからすぐに落とせるわよぉ? ……あっ」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「あっ?」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : あっ、水性ペンと思ってたら、これ油性ペンだ。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : …………。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 不安そうに見つめる。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「ほらお好み焼き屋」
油性ペンを、漫に渡す。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「えっ」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「たまにはやり返してみなさいよ」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「ほぉ~ら、やってみなさい?」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「……」
いいんですか……と聞こうとして、そんな言葉は不要と気付いて引っ込める。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : しばらくまじまじと見つめたあと、キャップをすぽん……と取り。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「動かんでくださいね、あんまり器用やないんで」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「……別に、気にしないわよ」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : それにこくりと頷き、左手で前髪をかき分け……顔を近づける。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : あっ、ちょっ……そんな顔を近づけてくるぐらい、器用じゃないの……?
なんて思いながらも、あたしは目を逸らさないし。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 瞬きを一つもしなかった。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : ゆっくり、きゅ、きゅ……と、ペンを走らせる音。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : ちょっとくすぐったい。けれど、それ以上に
この子が、あたしの身体にペンを走らせてるという事実が、よっぽどくすぐったかった。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「…………よ、良し。これでええでしょうか」
ペンを置き、目の前に手鏡を持ってくる。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : もちろん、鏡写しの『漫 』の文字。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「……なにこれ、あっ……」
先ほど、『乃音』の文字を書いた時に、あたし自身が発した言葉を思い出す。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「……ふーん、あたしを所有物にしようとしてるのかしらぁ?」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「えっ……ちゃ、ちゃいますって……!ただ……」
あわてて否定しようと。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : すると、あたしは油性ペンをもう一本取り出し。きゅぽん、と音を奏でていた。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「一本じゃないわよ」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「ふぇっ」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : まばたきを一つ。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : そのまま、すかさず漫の頬にペンを走らせる。瞬きの合間、その隙を縫うかのように。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 『❤』

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「ただでやり返されるわけないでしょぉ? お好み焼き屋ぁ!」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「なっ……なんするんですか!?」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「そりゃあお互い相手を所有物にしようとしてるんなら……ペンを走らせた回数で勝負に決まってんでしょぉ?」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : すると、またすかさず漫の体のどこかにペンを走らせようとする挙動を見せつける。やられる前にやってごらんなさいよ~。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「う……言いよりましたね……!」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 少しムキになって、もう一本のペンを手に取り。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「あっ! ふぅん、言っとくけどペンぐらいいくらでもあるんだから!」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 手に取ってる間に、まだ書いてない方の頬にペンを走らせようとする。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「生憎ですけど、描かれ慣れとりますから……!」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : かがんでそれをかわし、乃音の後ろに逃げ込んで……手を回し込み、とらえる。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「ちょっ!? きゃっ、しまった……!」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : らしくもなく、背後を取られて。
やっぱりほんのわずかの体格差もあってか抜け出すこともできず。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「経験の差っちゅうんですよ」
気弱な自分から抜け出すように、思わず笑みがこぼれ。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「あ、あたしだって経験豊富なんだけどぉ! や、やばっ、なに書くつもりぃ~!」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「あはは」
自分と反対の頬に、同じように描き足す。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 『❤』

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「あっ、ちょっ……ちょっと……!」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 鏡を見ずとも、わかった。なんて書かれたかを。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「ん……お揃いですよ、これで」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「…………」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「………」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「ふぅ~~~ん」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「じゃあ……」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「もっと書゛き゛足゛し゛ちゃうからぁ!」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「あはは……………………え?」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : あたしはそのまま、体に力を込めて
逆に漫の後ろから手を回して、とらえる!

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「ひぃっ!?」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「お揃いだなんて、いい気になってんじゃないわよ♪」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「こんな所にも書いちゃうんだからぁ~」
あたしは、漫のスカートをすっとほんの少しだけずらすと、太腿に『❤』と書く。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「あ、あの……蛇崩先輩?」
困ったような笑い顔。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「ひゃ……っ!?」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「あははははは! あなたはこれ真似できないわよねぇ! あたしの勝ちね!」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 恥ずかしさとくすぐったさに、身体がびくん、と波打つ。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : ……? 何やってんの、あたし。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「あ」
波打った身体に呼応して、こちらもびくんと身体を震わせる。
そして自分のやった事に、やっと気づく。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : それと同時に、後ろからまわしていた手を解いていた。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「……あの……」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「…………」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : やばいやばいやばい、なにやってんのよあたし!!!

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : あたしはそのまま思わず、硬直してしまっていた。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「…………」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 硬直した身体に、ゆっくりとスカートをずらす時間は十分だった。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「えっと……」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「…………」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「描いてほしい……ってことで、いいんですよね?」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : きゅ。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「きゃっ」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「あっ……」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 気づけば、あたしの足にペンが走っていた。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : なんて書かれたか、おそるおそる……その目でしっかりと。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : きゅ。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 調べようとしたら、また……ペンが走った。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : あたしは三回分書いた、けれど今ので追い越された。四回目。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 可愛らしく、ふたつの『❤』のマーク。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「はい……じゃあ、先輩の番ですよ」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「…………ちょっと………漫ちゃん」
あたしは、お好み焼き屋と呼ぶのを、自然とやめていた。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 手を離し、今度は自身のスカートをゆっくりとたくし上げる。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「…………」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「じゃあ」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 気づけば、おそるおそるペンを……漫の足に走らせていた。
先ほどよりも勢いも衰えていたけれど、黙々と……。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : ハートを散りばめていった。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「ひゃ」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : ねえ……皐月様……ううん、皐月ちゃん、あたし……何やってるわけ?
あたしもよくわかってない。けれど……。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : この子の足に、ハートを散りばめていけばいくほど。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 胸が高鳴っていって、良い音が奏でられていく。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「……」
先輩を上から見下ろす景色の物珍しさに、普段にはない感情が湧き上がる気がする。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「……ぁ」
視線を感じ、ふと上を見上げると。こちらを見下ろす漫の、普段は見ることのできなかった一面が垣間見えていた。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「…………」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「……犬みたい、ですね」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「……!!! な、ななな……」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「ふふ」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「何言ってるわけ……! そんな……」
やっと、ペンを走らせる手が止まる。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「……」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「でも、これだけ書いたんだから……」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「あなたの負けね」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : たしかに書いた数が多い方が勝ちとは言ったけれど
今思い返せば、それもわけがわからない。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「あはは……ええ、私も少し手が疲れちゃいました」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「じゃあ、負け……認めるのね? あたしの所有物って事になるけどいいのかしらぁ?」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : なーんて……

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「はい」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「…………」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : はい!?

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「……じょ、冗談……じゃないとしても、はいって言える?」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「はい……えっと、こんなにされたら……むしろ、所有物じゃない方が恥ずかしいっていうか……」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「……それに、所有物になれば……一緒にいられますよね」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 何度も、ほぼ毎日といってもいいぐらいにこの子の事は見てきたし、何度も話したり話しかけられたりした事もあったけれど、その今までのすべてが
この時に収束したと考えた途端、今までのすべてがこの時の為の『序奏』に聴こえてくる……

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : そして、漫のその言葉にとうとうあたしの心は、思いっきり揺さぶられた。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「所有物になれば……大切にしてもらえますよね。あの楽器みたいに」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「…………所有物、所有物って言うけれど。言い出しっぺはあたしだけど……生き物、人は物じゃないし……」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : そう、目を逸らしながらぽつりとつぶやくと
そのまま漫の手に自分の手を重ねる。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「けれど」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「ず、ずっと一緒にいられるようにするってのは……」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「いいんじゃない? あたしは、いやじゃないし……それに……約束しちゃったもんはしちゃったし」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : その言葉に、にこりと微笑みを返す。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「そ、それに……あなた、どうにも放っておけないし、砂のお城みたいに波にさらわれて一瞬で崩れちゃいそうだし……」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : わけのわからない、でも何とかわかりそうなたとえをしつつ、あたしは……。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「やっぱり、約束とか抜きにしたって、あたしがずっと一緒にいてあげないと、ダメになりそうよね、あなた」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「えっ……ええ……!?」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「もういいわ、決めた、あなたが良いって言うんなら……だけど」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「嫌なわけないです。憧れの先輩から、これだけいっぱい気持ちをぶつけてもらえて」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「……それに、私からも……先輩と比べたらはるかに少ないですけど、そのお返しができて」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 頬の落書きを見つめ。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「……お好み焼き屋、あなたの実家……あたしがもっともっと支援してあげるわ。だから実家を継ぐとかそういう心配もしなくていいわぁ」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 頬の落書きに触れて、いつもの、あたしの表情で、いたずらに笑みを浮かべる。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「あ」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「もう、あなたの全部ひっくるめて見てあげるんだから、覚悟しなさい」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「……先輩の手も、あったかくて気持ちいです」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 頬のやわらかい感触。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「……じゃあ、もっとこっち来なさいよ、飽きるほどあったかくしてあげる」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : こっちだって、その頬の感触が伝わってきて。気持ちいいんだけど……。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「私からも、よろしくおねがいします。……先輩のお手伝いができるよう、頑張りますから」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「はい」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : ふらり、と乃音の方へ。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「ええ、その心意気と、そのいつもの天然ドジさえあれば、あたしも一生飽きないわ」
ふらりと、まんまと近寄ってきた漫を引き寄せる。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : ……もうこういう関係になったら、やるしかないのかしら?
いや、やらないとなんかいろいろ廃る気がする。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : ぎゅっ、と抱きしめて。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「ひゃっ」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : もちろん、落書きもされていない。
口紅も塗られていない。漫の唇に。

[文化部統括委員長室] : ちゅっ

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「…………」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : やわらかっ。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「…………っ」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「っ、ふうっ、どう? あたし、こういうのもちろん初めてだから」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「よくわかんないんだけど…」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「っ……え、その……」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 嘘。よくわかるに決まってんでしょ。今のキスの、柔らかさが
あたしの心の中で奏でられる音に、さらに彩りを足したんだから。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「えっと……私も初めて、っていうか……」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「そ、それは、初めてじゃなかったら、ショックなんだけどぉ? き、決まってんでしょ」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「いや……その、びっくり、しちゃって……えっと……」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 顔全体がだんだんと赤みを帯びていく。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 火照っていく、漫の顔。
あたしが、漫を抱きしめて、キスをした事が現実である事をひしひしと感じさせる。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : そして、たった一度のキスで
漫の中で奏でられていた音に、あたしの音色を重ねたんだ、という背徳感も感じてしまっていた。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : ……合奏。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 漫となら、あたし……もっと音色を奏でられちゃうわね。きっと。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「じゃあ、今度は……」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「あなたの方から、してみなさいよ? ほぉ~ら」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「へっ……ええ!?」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「あー、嫌ならいいわよ? あたしから何度もしてやって、あたしを犬呼ばわりした事を後悔さ゛せ゛ちゃうけどぉ?」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「あー……!もうっ!」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 同じように、ぎゅっと乃音を抱き止めて。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「きゃっ」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : あたしに似合うようで似合わない、かよわい声を思わずあげながら。抱き止められて。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : その勢いのまま、自身のありのままをぶつけるように。

[文化部統括委員長室] : ちゅ……っ

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「……………………」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「……………」
今の一瞬で。唇から唇に伝わる感触で。あたしの音色が、漫のそれに更に重ねられていた。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「……ぷはっ」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「……」
漫の瞳に映るあたしは、先輩だというのに、犬扱いを今までしていたというのに、さきほど先制で口づけしたというのに……蕩けていた。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : なさけなっ。でも、そう思っても
蕩けて、うっとりとしたあたしの表情は崩れない。こんな表情、似合わないけれど……抗えない。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「……その。うまくできとったら、嬉しいです……けど」
その表情を前に、少し満足そうに。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : まっ、いいわよね、皐月様だって……皐月ちゃんだって肩の荷が下りたら
一人の少女に戻ったんだから。あたしだって……。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : どこにでもいる……一人の少女、よね。

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「……ほら、先輩の番ですよ。次はどんな音色……教えてくれるんですか?」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : なぁーんて、そんなわけないでしょうが! あたしはあたし、特別なのよ!
皐月ちゃんも! あの転校生も! そして……漫も。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「…………さぁーて、どんな音色を奏でてあげましょうかね?」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「と、言いたいところだけど……」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「…………あなたの、上手すぎよ」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「残念ながら、こっちは……あなたに勝てそうもないんだけど……」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「あはは……なんや、私が変態みたいやないですか」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「…………!!! そう! 変態にきまってんでしょ変態!」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「天然で、ドジで、犬で、しかも変態!」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「ふぇ……ち、ちょっと……っ!!?そんな言わんでも……!!」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「…………じゃあ、そんなあなたに蕩けさせられたあたしはもっと変態なんでしょうけど」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「……え」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「あたしの全身にバターでも降り注いだ日には、全身舐めてきそうでちょっと怖いわねえ~」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「せんですよそんなこと!」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「……じゃあ、舐めてっていったら?」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「……っ」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「な、なんでそこでちょっと止まるの?」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「……本気でやる?」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「……そん時は、しゃーなしです。所有物ですから」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「……!」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「じゃあ逆にあなたがバターまみれになった時は……あなたを舐゛め゛む゛さ゛ぼってやるけどぉ!!!」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「ひゃ…っ!?なっ、何でそうなるんですか!?」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「…………もしかして、舐めたいんですか?」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「えっ……~~~~!!! とにかく……バターまみれといったら汚れ……汚れといったら、この落書きまみれの身体! こんなんで外出歩けないわ全く!」
舐めたいんですか? と言われた事に対し、良い言い訳も思いつかなかった、情けなさすぎるけれど……。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「ほら! 風呂入りなさいよね!」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「あはは……えっ」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「このお部屋、お風呂まで付いとるんですか」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「つ、ついてるけど……」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「……」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「一緒に入るぐらい、もう今更何も気にしなくていいけど?」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 顔の赤らみをほのかに残したまま、こくり、と頷く。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「……あたしがあなたを洗ってあげるから、逆にあなたがあたしの身体を責任もって洗いなさいよね」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「はい、ええですけど……先輩の分は大変ですよ?」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「それぐらい責任とれなかったら、『これ以上』の事もできないでしょ」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「……」

[文化部統括委員長室] 上重漫 : 「やっぱり変態は先輩の方やないですか」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「…………あぁあぁあ~~~~!!! もうっ! 風呂入りなさいよさっさと~~~!」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 誤魔化すように大声で叫び。部屋にそれが木霊した。

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 :  

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 : 「まったく……」

[文化部統括委員長室] 蛇崩乃音 :